AXISフォーラム 石井裕 講演会

UI業界では有名なMIT石井先生の講演会に参加したので感想をメモ。関連リンクも参照。


AXISフォーラム 石井 裕(MITメディアラボ 副所長・教授)講演会

現在発売中のAXIS142号の表紙インタビューにご登場いただいたマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ 副所長・教授、石井 裕氏の講演会を開催致します。タンジブルユーザーインタフェースの研究で世界的に知られる氏が、今までの活動の軌跡と「ポストタンジブルビット」をはじめとする未来のビジョンを語ります。


講演会発言ログ
安藤日記


石井先生の連載記事。講演内容はほぼここから
ASCII.jp:石井裕の“デジタルの感触”


Twitter上での実況と感想
Twitter / Search - #axis


所感

さすが世界の石井先生の講演、AXISギャラリーは超満員で150人ほど集まっていた。


初めて生で石井先生を見たが、まずはエネルギッシュで思っていたよりよくしゃべる印象。「話していると速くなっちゃうんだよね」という言葉どおり、だんだんとスピーチもテンポアップ。英単語もマシンガンのように連続して飛び出し、次々と話が移っていく。その中でもしっかりとユーモアを交えて話されていて、1時間半があっという間だった。


非常に頭の回転が早く、MITで研究者として生き残っていくことに対する熱意が伝わってくる講演会だった。


特に印象に残ったのは「身体の痕跡」というフレーズ。これはbitではなくatomでしか表現できない部分。

Digital Technologyの発展は一段落した感もある今、Physicalな直接操作や曖昧さ、人間的な部分に再びスポットが当たっているのかも。ちょうどタイミング良く感性の本を読んだところだし。


先生の取り組んでいるTangible UIは、ただ物理的に触れる動かせるインターフェイスを作ろうというわけではなくて、PhysicalとDigitalのそれぞれ良いところをいかに組み合わせるかを考えるのがコアなのかなと今回の講演で解釈した。


キーフレーズ

宮沢賢治の詩について
 肉筆原稿を目にして感動した
 創作プロセスや苦悩、動きのキャプチャー、身体の痕跡
 活字(テキストデータ)はそういうものを削ぎ落としてしまう


Tangible=「存在」
 鍵束は感じることができる、存在の確かさ
 どこにどのキーが有るのか分からない不確かさ
 いかに存在感の無いものに存在感を与えるのかがタンジブルの役目
 そろばんの例
 ComputingはTangibilityを拒否している


「協創」
 デザイナーを雇う、アーティストを雇う、というのは間違い
 頭の中でアーティスト、エンジニア、頭の中で高速にスイッチしないといけない


「再起」
 今までの仕事を全部捨てること
 そのためには燃料がいる
 「飢餓」:ビジネスに飢餓感を持っているか、跳びかかれるか
 「屈辱」:屈辱はプライドが無いと屈辱にならない


「問い」
 「何故」という問いが大切
 5回、7回と問いを続けると哲学の次元までいく。
 普遍的、ここまでいくと Ph.D がとれる


「未来」
 2200年、孫かひ孫がいっぱいいる人達に何を残せるか
 どのように思い出してもらいたいか
 Life is Short.


「デザインは語らない」
 デザインしたもののストーリーを語る努力をしなければいけない
 ビジョンを語るには、戦略をたてて、理解して伝えないといけない
 アーティストは作品が語っているといいわけできる