マミオン有限会社に転職しました

転職のごあいさつ

ということで、退職報告から1か月間のニート生活を経て、2012年1月からマミオン有限会社Twitter:@mamion)にお世話になっています。
転職にあたり、Facebookを通して個人的にコンタクトをとりまして、無理言ってなんとか潜り込ませてもらえることになりました。

マミオン有限会社は、主にシニア向けのパソコン教室を全国にフランチャイズ展開しています。
が、特に高田馬場の本校では、同時にユーザビリティ改善のためのリサーチやコンサルティングサービスも提供しており、またアイトラッキングマシンも自前で持っているという希有なパソコン教室です。こちらで、インストラクター業務とリサーチ業務を平行して担当させてもらう予定です。

なぜマミオンなのか?

これまでとこれからの様々な『点』が、『線』になりそうだと感じたからです。


前職NHNに転職した2008年の終わりごろ、ふと思いました。
「あれ?パソコン教室に来る人にリサーチモニターとして協力してもらえば、格安でパソコン教室ができて、逆に格安でユーザーリサーチもできるんじゃね?」とビジネスアイデアが浮かんだんです。

実は静岡にある僕の実家では、親が小さなパソコン教室を運営しています。そんなパソコン教室とUI/UXとの交点にいるのは自分しかいない!と。

で、そのアイデアについてGoogleで検索してみたところ、悔しいことに、既にそれに近いビジネスをやっているところを唯一発見してしまいました…。それがマミオンさんとの最初の接点です。


2009年には、NAVERのUXチームのメンバーとして、アイトラッキングマシンを触らせてもらいに高田馬場教室を訪れたこともありました。(ホントに格安だったので…)
また経営者の森さんのブログ『使いやすさを考えてみる』は、生のユーザーさんと接することで得られる気づきや現場で生まれたノウハウが凝縮されており、ハッとさせられることが多くて大ファンでした。
そのころから、こういう生のユーザーに近い環境で働けたらいいなぁと、ぼんやりと考えていました。UI/UXの最適なデザインのためには、手法うんぬんよりも、普段からどれだけユーザーの近くにいられるかが重要なのでは、と。

また大学のときには、シニアを対象としたアイトラッキング研究にも携わっていました。

UI/UX改善業務の限界

これまで4年間、僕は一貫してWebサービスのUI/UX改善業務に取り組ませてもらってきました。しかし、一定の成果を出せたと思うものの、そのアプローチの限界を感じたのも事実です。

  • 自分がこの業界に入ってから、自分の母親はインターネットを縦横無尽に楽しめるようになったか?…NO。
  • とても素敵なUI/UXを誇るiPhoneアプリのPath。では今現在、自分はアクティブユーザーになったか?…NO。
  • 自身がTwitterに登録して、本格的につぶやき始めたのはいつか?…1年後の、元同僚が参加し始めるようになってからだ。


サービスを使ってもらえるかどうかは、もちろんUI/UXの改善も大事です。しかし自分はそれよりも、周りの友達が既にやっているかどうかや、身近に詳しい人がいるかどうかなど、リアルのユーザー環境要因の影響力が大きいのではと思ったのです。トンネルを作る場合は入口と出口の両方から掘り進めていくように、ネットサービスの場合も、サービス側とユーザー環境側の両方に働きかけないと、と。

動くなら今しかない

最近になって、本格的に転職を考えたきっかけは3つあります。


一つ目は、iPadの発売です。
これが出て、正直、自分は愕然としました。UI/UX面に関しては、パソコンをうまく使えなくて困っているシニアに対しての大きな躍進に見えました。これに関わった人たちと勝負しても勝てる自信はないな、と。


二つ目は、3月の大震災です。
以前の退職エントリでも書きましたが、「自分もいつ死ぬかわからない、それなら生きているうちにやりたいことを試してみよう」という思いが強くなりました。


三つ目は、自身の結婚です。
嫁は子供に音楽を教える仕事をしています。目の前にいる生身の人間に価値を提供して、その対価をもらえる仕事というのは、自分にとっては衝撃であり新鮮なことでした。これまでは、どうしても自分とは遠いところで売上や給与という数値だけが気まぐれに上下する世界だったので。
そして同時に、これまでとは違うジャンルの人と付き合うことで、自分たち『ネット住人』がいかに特殊で、世の中全体から見たらマイナーな存在なのかということも思い知らされました。その中だけでワイワイ盛り上がっていて本当にいいのか?と。

マミオンでやりたいこと

まずは、リアルなユーザーともっと正対することです。
特に今までパソコンやインターネットに縁遠かった方々がどんな暮らしをしているか、何ができて何ができないのか、どんな悩みを持っているのか知りたいと思っています。そして、そういった方々にパソコンやインターネットをもっと使ってもらえるように、直接サポートしたり、サービスの改善提案もしていきたいです。


例えば75歳のシニアの方々が、今までの豊富な経験やノウハウについて続々とブログを書き始めたり、SNSで遠くにいる地元の旧友とイイネを連発しあうなんて、ちょっとワクワクする社会だと思いませんか?
選挙のときなど、マスコミから流れてくる一方的な情報を鵜呑みにしてしまうのではなく、必要な情報を自分で集めて『考える』人が多くなったら、社会が少しよい方向に変わりそうだと思いませんか?
他にも、インターネットを使って「やりたいこと」を実現できる人が増えたらいいなと思っています。ワクワク知的に活動する大人を増やして、社会にもっと活力を提供したい。


ちなみに10月に、高田馬場教室に一度お手伝いに行ったのですが、60歳を超えた男性が、黙々とエクセルを習得しようと頑張っている後ろ姿を見て、自分は「未来」を感じてしまいました。とてもカッコよかった。60歳って「上がり」じゃないんだなぁと。年金もアテにならないこれからの世の中、そういう生き方の最前線を自分の目で確かめられるのも楽しみです。

正直、まだ自分には何ができるか断言できないですし、考えも雑多な部分がありますが、今後の観察や対話を通して方向性をさらに見極めていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。