初めてiPadを持つシニア層におすすめのアプリまとめ(後日談)
会社ブログ25本目です。
このお盆休みを利用して、義理の父母の家にiPadをセッティングしてきたので、ネタにさせていただきました。おすすめアプリは上記ブログでまとめたので、こちらでは事の顛末や、渡すまでにやった詳細なタスクを記録しておきます。
テレビ電話がしたいんだけど…
今回の話は、義理の父母から「テレビ電話はどうやったらできるの?」と相談されたのがきっかけでした。Webカメラさえあれば何とかなるのでしょうが、いかんせん向こうのパソコンはWindowsXP、かなり古いものなのでちゃんと動くかわかりません。
そこでこの際、iPadを使うことをおすすめしてみました。向こうでは犬を飼っているので、家の中を自由に移動できるiPadの方が楽しく電話できると思ったのもあります。
ちなみにお二人とも今年で61歳。東京からは飛行機と電車を乗り継いで5時間かかる小さな港町に子供のころから住んでいるそうです。携帯のメールは使えるものの、インターネットはヤフーニュースと娘のブログをチェックするくらい。もちろんネットで買い物などしたことはありません。
事前準備:ハード編
向こうの家の近くには大きな電器屋がないので、必要なものは全てこちらで購入して持っていきました。
アップル iPad 2 Wi-Fiモデル 16GB MC979J/A(ホワイト)
- 出版社/メーカー: Apple Computer
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Simplism iPad 2 レザーフリップノートケース スタンド機構付き オレンジ TR-LFNCIPD2-OR
- 出版社/メーカー: Simplism
- 発売日: 2011/04/27
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プリンストン iPad/iPhone/iPod touch専用タッチペン (ブラック) PIP-TP2B
- 出版社/メーカー: プリンストンテクノロジー
- 発売日: 2010/07/10
- メディア: エレクトロニクス
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NEC Aterm WR8160N[STモデル] PA-WR8160N-ST
- 出版社/メーカー: NEC
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- メディア: Personal Computers
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今回は予算のこともあり、iPad2の中古をヤフーオークションで調達しました。上記のケースとタッチペンのセットで送料込みで30000円。また「テレビ電話をしたい」「今のところ外には持ち出さない」とのことなので、iPadはWi-Fiモデルを選択しました。
無線LANルータは、比較的トラブルが少ないと噂のNEC製を選択しました。そうそう向こうの家に行けるわけではないので、一番安全なメーカーにしておきました。こちらは価格com経由で2500円程度でした。
またiPadのケースやカバーですが、フタ付きのものをおすすめします。「パタッ」と閉じることで電源が切れるのがわかりやすいと好評でした。また手のグリップ力が弱まっていくことを考えると、滑りにくい素材で、かつ全体を包めるデザインのものの方がよいでしょう。
事前準備:ソフト編
iPadで様々なサービスを使うためには、様々なアカウントが必要です。しかしパソコン教室での経験上、こうしたアカウントの登録や管理はシニア層が最も苦手とする手続きの一つです。ですので、できるだけこちらで事前の下ごしらえをしておきました。
1. Googleアカウントを作成する
後のApple ID登録用に、実家専用のGoogleアカウントを新規に作成します。GoogleのサービスはiPadと相性のよいものが多いので、新規で作るならこちら一択でしょう。
シニア層の方々の中には、古いプロバイダのメールを使っている方や、パソコン用のメールアドレスを持っていない方も多くいらっしゃいます。これを機に、パソコンでもiPadでもサクサク使えるメールアドレスをプレゼントしてあげるのもよいかと思います。
3. Apple IDを作成する
Apple IDの作成は、通常クレジットカードの登録が必要となりますが、下記の方法で行えばカード登録なしで手続きが行えます。認証メールはすでに『メール』アプリで受け取れるはずです。
4. 『FaceTime』を設定する
最初に『FaceTime』を立ち上げると、Apple IDの入力を求められます。その後、「連絡先」に自分のiPhoneの番号を忘れずに登録しましょう。
またiPad Wi-FiモデルでFaceTimeを使うのは発信受信ともに少しクセがあるので、下記サイトで挙動を確認しながらテストしてみるのがよいと思います。
6. 『Safari』のブックマークを設定する
よく見る可能性のあるサイトを、あらかじめブックマークしておきます。今回は「Yahoo!JAPAN」、「家族のブログ」、「自治体のサイト」などを登録しておきました。
番外. その他のアカウントを作成する
後にインストールするアプリのため、各種サービスのアカウントを作成しておきます。今回は以下の2つだけ用意しておきました。
- Windows Live ID
- Amazonアカウント
iPad教育カリキュラムがスタート
今回の帰省は2泊3日と限られた期間しかありません。3日間でやってもらったことや、その反応をまとめてみます。
1日目:タッチ操作に慣れる
無線LANをまだ設置していないこともあり、まずはiPadのタッチパネルに慣れてもらいました。
- 『カメラ』で写真を撮る、見る
- 『メモ帳』で文字入力の練習
- ゲームアプリでタッチ操作に慣れてもらう
文字打ちの練習は『メモ帳』で行いました。以前教室でiPhone講座を行った時には、皆さんフリック入力に苦戦されていましたが、iPadなら50音キーボードがあるため、比較的スムースに文字入力ができていました。シニア層にはiPhoneよりiPadがフィットするという理由の一つが、この文字入力のしやすさです。
2日目:ネットにつなぐ
次の日の朝、起きてリビングに行ったら、義理のお母さんがすでに『Angry Bird』で遊んでいる最中でした…。この中毒性は特筆に値すると思います。
午前中に、買っておいた無線LANルータを設置しました。NECのこの機種は、手順通りにケーブルをつないで電源を入れただけで使えるようになりました。
- 『Safari』で家族のブログをチェックする
- 撮った写真を『メール』で家族に送る
- 『FaceTime』で家族にテレビ電話をかける
- 『SkyDrive』で家族から共有された写真を見る
- 『YouTube』で犬の動画を見る
- 『Radiko』でラジオ番組を聞く
- 『クックパッド』でレシピを探す
早速『FaceTime』でこちらのiPhoneとテレビ電話をしてみると、思ったよりハッキリと顔を合わせて話ができることに、とても驚き、喜んでいました。「どんな風に映ってるの??」とiPadとiPhoneの間を行ったり来たり。カメラを切り替えればペットの犬の様子も映してあげられるので、これから電話の回数も増えるでしょう。
『SkyDrive』も大変喜んでもらえました。事前準備として、自分のSkyDriveの中に結婚式や旅行の写真などを大量に入れておき、このiPadに共有設定してあります。操作体系も標準の『写真』アプリと近いので、すぐに使えるようになりました。
この日は覚えること、できるようになったことが多すぎて、少々お疲れの様子。
初めてiPadを使う様子を観察してわかったこと
今回、普段のパソコン教室よりもディープなiPad利用観察をすることができたのですが、ユーザビリティ視点でも興味深い発見がいくつかありました。
アイコンは「怖くて押せない」
つい先日、某社社長のインタビューで「すべてをアイコン化しているので直感的なんです」などという発言がありましたが、実際アイコンを初めて見た人は、それが何を意味しているのかわかりません。特に今回のようなIT初心者、シニア層にとっては、わからないものは「怖くて押せない」んです。
先ほどのリンク先には「慣れれば大丈夫」と続けて書いてありますが、怖くて押せないものに対して、いつ慣れることができるのでしょうか?
このあたりのボタンやリンクの表現については、「適切なラベリング」に勝るものはないと思っています。変にカッコつけず、テキストで表現すればいいんです。
話は変わりますが、先日教室で生徒さんのAndroidタブレット端末を触った際、抽象的なアイコンばかりが画面に並んでいて手も足も出ず、困った経験をしました。『アイコン=使いやすい、直観的』という認識を持っている方は、ぜひその考えを見直していただきたいと思います。
アナログを模したデザインが、『メンタルモデル』の構築を助ける
人気のあるアプリの中には、アナログなモノや物理法則を丁寧に取り入れたデザインを採用してるものもあります。これらは見栄えがよいのはもちろん、IT初心者にとってアプリをスムースに使い始められる効果があるのではと感じました。
たとえば『メモ帳』アプリでは、新しいページを作る際、紙がペラッとめくれるアニメーションが入るのですが、こうしたアナログの世界を模した動きは、IT初心者の理解をとてもよく助けてくれます。「ああ、今まで使っていたこれと同じなのね」「ここを触ったらこうなりそうね」と、いわゆる『メンタルモデル』の構築に大きく貢献しているように思います。
キラーコンテンツは、「家族」、「動画」、「介護」、「ゲーム」?
今回のiPad導入に際し、特にリアクションが良かったアプリが『FaceTime』、『SkyDrive』、『YouTube』、『Angry Bird』でした。
家族に関するコンテンツが強いのはもちろん、テレビに慣れた世代には動画コンテンツも人気が高いです。また高齢の親の介護に関する情報を検索し、Yahoo知恵袋のページを見つけて「同じように悩んでいる人が他にもいるんだねぇ」とホッとしていたのも印象的でした。若い人には当たり前となったネット上の悩み相談でも、まだまだ必要としている人に届いていないんだなぁと実感しました。
一方で、若い人に人気のTwitter、Facebookなどのソーシャル系サービスの紹介は今回は見送りました。まだ周りに参加している人が少ないので、こちらはもう少し期が熟した際に提案してみようと思います。
身近にいて簡単に相談できる人の必要性
今回iPadを設置してきて思ったのは、やはり「身近に詳しい人がいるといいのになぁ」ということです。
2泊3日で何とか基本的な操作は覚えてもらったものの、いざこれからアプリや無線LANのトラブルがあったときには、自分では対応できないと思います。僕がそのためだけに飛行機に乗って行くわけにもいかないので、各町に1人でも、こうしたIT関係のちょっとした相談に乗ってくれる人が欲しいと。教室までいかなくても、カフェやジューススタンドのような雰囲気で、ちょっと一息つきながら詳しい人に面倒をみてもらうイメージです。
こういう役割、町の電器屋さんがいいかと思ったんですが、だいたいパソコンまでは守備範囲外なんですよね。なので各町役場に1人ずつIT担当者を配備する、もしくは地域のパソコン教室と提携するのがいいのかなと。
そうすれば定期iPad教室なんかを開いてコミュニティの活性化にもつながりますし、SNSのようなソーシャル系のサービスもより楽しめるようになるはずです。