なぜユーザビリティを業とするのか?転職1年を振り返る
マミオンで働き始めてちょうど1年が経ちました。
個人的には、「えっ、もう1年なの!?」という印象です。
幸いにも、たくさんの生徒さん、たくさんの企業の方々とお付き合いをさせていただき、とても勉強になったし、思うことの多い充実した1年になりました。今回はその振り返りと、今年の展望についてまとめておきたいと思います。
「何のためのユーザビリティなのか?」
これまで、大学で学び、前職で専門としてきたユーザビリティの知識やスキルですが、この1年でそれに対する考え方が少し変わってきました。
以前は、ただ「サイトのデザイン改善アプローチのひとつ」であったり、あるいはマーケティング的な側面で「コンバージョン率を上げるため」「売上を最大化するため」という視点で取り組んでいたことが多かったと思います。
それが、今ではこんな感じです。
教室で教えていると、多くの生徒さんから、「テレビでやってたこの商品をインターネットで買いたいんだけどできる?」とか、「最近は旅行もインターネットで申し込むと安く行けるんでしょ?」などと声をかけられることがあります。
そうしたときに、ユーザビリティに劣るサイトが目の前に立ちはだかっていれば、特にITに疎い人から選択肢を1つ奪ってしまうことになりかねません。
また、次のように感じたこともありました。
正直、様々なサイトや商品において、なかなかユーザビリティ改善施策の効果を正確に切り分け、定量的に評価することは難しいのが実情です。もちろん良くなった実感はあるのですが、それを数値で証明することにリソースを割きすぎるのは本末転倒だと思います。
たとえ数値が上がっていても、実はイライラしながら達成しているのかもしれないし、数値が低くても、納得して離脱しているのかもしれない。
ユーザビリティの改善は、実際のリアルのお店で言うと、来たお客さんを「笑顔で迎えること」「歓迎すること」にも近いのかなと改めて思います。そのサービス提供者の心意気や信念が表れるところなんですね。
「商品やサービスは、会社の提供する価値や志を実現する為の『手段』である」
次のツイートは、ネット上の某記事を読んで共感してのものです。
ユーザビリティに関連して、最近はUX、HCD(人間中心設計)への注目度も高まり、それに用いる手法なども広く実践されるようになってきました。
しかし、個人的には、それだけではまだ不十分だと強く思います。信念や志、日頃からの問題意識がないところにいくら手法だけ提供しても、3か月でフェードアウトする商品やサービスにしかなりません。
大切なのは、その前に、
- 「あなたは、あなたの会社は、社会にどんな価値を提供したいのですか?」
- 「あなたは、なぜその会社で働こうと思ったのですか?」
- 「あなたの身の回りに、すぐそばに、解決すべき問題はありませんか?」
ということをもっと突き詰めて考えるべきなのではと思います。
ちなみに、マミオンで言えば、「シニア層マーケティングリサーチ」や「ユーザーテスト」というサービスは、やはり『手段』に過ぎないと考えています。
実現したいのは、インターネット人口をさらに拡大し、ワクワク知的に活動するカッコいい大人を増やすこと。そのためのユーザビリティ業務であり、パソコン教室なんです。
「シニアは、自分の延長線上にある」
ちなみに、シニア層のより充実した生活を考えることは、そのまま自分の生活や生き方を考えることに繋がります。そこで起こる問題に対処するためには、65歳になってからでは遅いことが多いからです。「65歳で定年退職、あとは年金で悠々生活」というこれまでの典型的なライフスタイルは、不自然極まりないなと調査のたびに思わされます。
このあたり、参考になるのは次の書籍です。『週4時間』の方に出てくる「メキシコの漁師とMBAの旅行者」の話や、『葉っぱ』で市場価格をタブレット端末でいち早く手に入れる上勝町のお年寄りのエピソードはよいヒントになりました。
- 作者: ティモシー・フェリス,田中じゅん
- 出版社/メーカー: 青志社
- 発売日: 2011/02/03
- メディア: 単行本
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- 作者: 横石知二
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
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また別の視点では、いま『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』で話題になっているように、「自分たちに必要なサービスは自分たちで作る」流れが今後さらに加速するはずです。シニアビジネスにおいても、元気で技術のある高齢者を中心に、そうした動きが出てくるのではないでしょうか。
そのために、今年はさらに高齢化社会に適した新しい働き方や、教育の仕組みについて取り組めるといいなと考えています。
以上、まとまりに欠けますが、本年もブログ共々よろしくお願いします。