「スマート・エイジング」という生き方

年を重ねるのが楽しくなる! [スマートエイジング]という生き方 (扶桑社新書)

年を重ねるのが楽しくなる! [スマートエイジング]という生き方 (扶桑社新書)

前回に引き続き、シニアビジネスコンサルタント東北大学特認教授の村田さんと、同じく東北大学の川島教授の共著です。前半が村田さん、後半が川島教授の執筆になっています。

認知証の改善に効く「学習療法」

川島教授と言えば、「脳トレ」で一世を風靡したのも記憶に新しいところです。最近も「鬼トレ」としてゲームの続編の監修をしています。

実はこれ、ただの計算ゲームではなかったんですね…。

川島教授は、どのような生活行動が最も脳を活性化するか、MRIを用いて検証したそうです。

  • 難しい計算をしているときは、脳は活性化しません
  • 一方、簡単な計算を素早く解くときは、前頭前野を含む脳のいろいろなところが活性化されます
  • テレビを見ているときは、後頭葉と側頭葉のみ活性化し、前頭前野は全然活性化しません
  • 手で文字を手書きしているときは、脳のいろいろなところが使われます
  • 大きな声で音読しているときも、脳のいろいろな場所が活性化します

これらの研究結果から、簡単な計算、手書き、音読からなる「学習療法」が開発され、これまでに1200以上の介護施設で導入され、認知症の症状改善の成果が出ているとのことです。通常は進行するばかりの症状に対し、これを導入してから「認知症は改善する」という希望が生まれ、施設の雰囲気が変わったというところもあるほど。素晴らしい。

また現在健康な方も、前頭前野を使うことは認知症の予防に効果的で、「脳の健康教室」として全国で通うことができるそうです。

脳の健康教室|脳の健康教室トップ : くもん学習療法センター
http://www.kumon-lt.co.jp/kenkou/index.php

先の「脳トレ」ゲームも、こうした研究の成果を簡単に実施してもらうための手段だったのでしょう。当時は自分もそんなことはつゆ知らず遊んでいましたが、今になって真の使い方に出合った感じです。

ちなみに最近では、iPhoneなどのタッチパネル端末でも「簡単な計算を素早く解く」アプリがいくつも開発されています。下の2つの無料アプリは動作もシンプルで遊びやすく、脳の活性化を期待してたまに自分でも遊んでいます。

ちなみに実はこのあたり、マミオンでも『大人塾』という大人向け算数教室の事業をやっており、展開が気になるところです。

ただ大人塾の方は、「算数ができることって楽しいよね!」という喜びをたくさんの人に味わってもらおうというところからスタートしていて、認知症予防は副次的効果とも言えます。なかなか「予防!予防!」と言っても、運動と違って衰えが目に見えにくく腰が重い方が多いのが実情です。

朝食の品で、知能指数が決まる?

余談ですが、川島教授の別の研究も紹介されていました。食事内容と脳の活性度合いを確かめるため、小学生を対象にした調査をしたそうです。

結果は、朝食はパンよりごはんの方が、そしておかずがより多い方が知能指数が高くなる傾向にあるとのこと。よく「勉強ができるようになるために、毎日朝食を食べなさい」と耳にすることがありますが、実はその内容までが影響するのだそうです。パン1枚だけで終わらさず、できればご飯と味噌汁、小皿1品などの和食がよいとのこと。

ちなみにこの話を読んでから、自分もカロリーメイトだけだった朝食を、きっぱり和食に切り替えました。今さらですが念のため…。