MIND HACKS

Mind Hacks ―実験で知る脳と心のシステム

Mind Hacks ―実験で知る脳と心のシステム

所感

かなりボリュームのある本だが、これは認知心理学の教科書、またはサブ教材として最適だと思った。


身近に実感できる認知心理学脳科学のトピックが100個も紹介されており、「あるある!」から「目からウロコ」まで、知的好奇心が刺激されることうけあい。内容の性質上、どうしても動的な表現が必要になるので参照URLも豊富に掲載されている。


全編通して印象的だったのは、どのトピックも「人間が生き残るため」に長い時間をかけて最適化されてきた結果だということ。
そして100ms〜200msの間に、コンピュータが苦手とするようなあいまいで複雑な処理が次々と行われていることがよくわかる。改めて人間の個々の認知能力とその連携具合に奇跡的な感情を抱いてしまう。


一度に読破する感じではなくても、各トピックをその都度参照したり、そこから関連トピックに飛んで理解を深めたりする形で楽しむ読み方がいいのかも。


キートピック

脳の構造
視覚

・平面に奥行きを見る
・動かないものを動かす(ファイ現象)

注意

・サビタイジング
・注意の瞬き
・テレビゲームによる訓練

聴覚と言語

・「タイミング」に敏感な聴覚

感覚どうしの関係

・ストループ効果
・マガーク効果

運動

・故障エスカレータ現象
アフォーダンス

推論

プラシーボ効果
・現状維持のバイアス

構造を知る

ゲシュタルト原理
・「人間」の認知
・「生命」の認知

記憶

・プライミング
サブリミナル効果
・想像力によるトレーニン

他者との関係

・顔の認識
・感情の表現
・人は真似をする