SUBJECT TO CHANGE
Subject To Change ―予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る
- 作者: Peter Merholz,Brandon Schauer,David Verba,Todd Wilkens,高橋信夫
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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所感
Adaptive Path監修のデザイン思考についての本。
大まかに言うと、何が起こるかわからない世の中なのだから、調査とプロトタイピングを中心に、さらにアジャイル的なアプローチを広めていきましょうという流行りの内容。こうした所謂「デザイン思考」を組織コンピテンシーとして取り入れて行こうというのは、基本的にIDEOもAdaptive Pathも同じ。
これまでこういう内容を何冊か読んできて、確かにアジャイル方式の大切さをわかっているつもりではあるが、残念ながら実際の実務においてはイライラすることも多い。
統制や理解の進められていないアジャイル環境では、四方八方から自分勝手な仕様や改善点が上がってきて支離滅裂になったり、決まったと思ったら大幅な仕様変更が入ったりして現場が疲弊する恐れがある。
トップがUCDについて深い理解を持っていたり、少人数での素早い開発には力を発揮する方法かもしれないが、ある程度の規模での開発には伝統的なフォーターフォール的なコンセプト共有型アプローチも必要ではないか。
さらに自分の実務環境では言葉と文化の違いによる隔たりが非常に大きなネックになっている。アジャイル開発の肝である細かなコミュニケーションがとりにくいのが致命的だ。
キーフレーズ
人の体験は以下の特質から生まれる
動機/期待/知覚/能力/流れ/文化
このそれぞれに対して満足できる対応ができていたかどうか
結果よりもプロセスに注目する
「何が」「どこで」「いつ」⇒「どうやって」「なぜ」にフォーカス
調査を組織コンピテンシーにする
せっかく調査をしても、壁の向こう側に投げてしまっては失敗する
調査報告書の価値は、ファイルの厚さに反比例する
定性、定量を合わせたアプローチが必要
Intel、Sumsung、Nokiaがよい例
⇒社会科学者とデザイナーが密に連携して仕事をしている
ダイソンは試作品を5127回作った
早期失敗、およそ90%は使えない
ストーリーボード
Adaptive Pathではビデオやストーリーボードによるプロトタイプを好んで使う
これから作るユーザー体験の評価や改善をしやすくする
アジャイルアプローチ
不確実性を避けては通れないということを受け入れる必要がある
デザインと開発が混じっているため、文書の削減効果もある
コミュニケーションは動作中のプロトタイプ実物を通じて行われることも多い