DeNA南場社長の講演会

東工大MOT科目「経営者論セミナー」のゲスト講師として、『モバゲータウン』などで有名な南場智子DeNA社長を迎え、「イノベーションを創出する会社の創り方」について講義をしていただきます。公開授業としますので、どうぞご参加ください。

東京工業大学大学院 イノベーションマネジメント研究科

天下のモバゲーと言えばうちの会社としても超競合。学生向けだったらしいけど、もぐり込んで聞いてきました。

概要

2時間の予定のうち、前半は講演形式で後半は質疑応答。
南場社長、思ったよりも柔らかい出で立ち。白いスカートはいてたし。

講演の前半はDeNAの立ち上げの話

1999年あたりのビッダーズ立ち上げ近辺の苦労話が中心。マッキンゼーを辞めてから、寝ずに仕様書書いて、システム詐欺にあって、月2億円ずつ赤字出して、等々。このあたり、何かの雑誌でエピソードを聞いた事があったので、あまり驚く内容はなかった。

講演の後半はビッダーズ拡大時の話

Yahooオークションが超先行していたので、それに追いつくために何でもしたエピソード。Yahooにある機能は全部つけ、ヤフオク値上げ時に大手ISPとキャンペーンを行い、ヤフオク出品者に連絡をとるために1品ずつ落札してビッダーズに誘導したりと。このあたりは執念というか、体力勝負というか…。この他にも結構えげつないことをやっていたようだが、Web上では自粛。

モバゲー立ち上げ

2005年以降のモバゲー立ち上げの話はほとんど触れなかったが、ビジネスモデルとしてやはり「ハンゲーム」をかなりベンチマークしたらしい。おお、やっぱりハンゲーム来た。アバタービジネスはオリジナルではないということ。

質疑応答でキャラが一変する

そして後半、質疑応答に入った瞬間、社長のキャラクターが一変する。今まで社長らしい丁寧な言い回しだったのが、「それは○○だよね〜。」「アホなんですよ私」「会社で変な提案するやつはボコボコにするよ?」「競争が本当に大好き」等々…。この1時間ほどは、「マッキンゼーの詰めの鬼・南場智子」が垣間見えた。やっぱ怖ぇ。生き馬の目を抜く世界で生きてきた人だ。

所感

総じて、DeNAは「典型的な」成功ベンチャーなんだなと思った。典型的というのは、コンサル出身者が、体育会系のノリで、泥臭く徹夜で頑張り、ここ数年は売り上げ倍々になってますというくだり。よく聞くパターンそのままで、特別に秘密があるわけではなかった。人事制度も「完全実績主義」らしく、未だ絵に描いたようなベンチャー


しかし正直、自分はちょっとここにはお世話になりたくないと思った。テンション的に合わなさそうなのはもちろん、微妙に危うい空気を感じ取った。もちろんモバゲーは先行者利益があるし実際使いやすいので、携帯ポータルとして今後大きく成功するとは思うが、この2時間で信念のようなものは伝わってこなかった。話が事業の黒字だ赤字だのことばかりだった印象。まぁ自分のとこも含めWeb系にそんなこと求めるなと言われるかもしれないが。Googleが別格なのは、良くも悪くもそういう信念の存在なのかなと。


今後、Yahoo!JAPANや楽天のように、いかにベンチャーから普通の大企業に転換していくかが課題。また、日本の携帯規格では世界市場に出られないので、今後iPhoneなどの共通プラットフォームを狙ったサービスを出してくるかどうかに個人的には注目したい。