グーグルに勝つ広告モデル

グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書)

グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書)

所感

グーグルという言葉に反応して買ってみたが、内容ではほとんどグーグル自体に触れられてはおらず、ネットの隆盛に対してマスコミ各分野はどうしていくべきか、という話。


自分はWeb業界にいるため、どうしても「マスコミ不要」的な意見を持ちがちだが、この本ではマスコミがなぜ日本の世の中に必要かがわかりやすく語られており、納得してしまった。そして崖っぷちのマスコミに対して、本当に現実的で前向きな対処方法を提案していて、その真剣さには頭が下がる思い。


広告とは関係ないが、印象的だったのはウィキペディアの話。無料で高いクオリティの百科事典としての地位を確立しているウィキペディアだが、そのコンテンツのほとんどはそもそも信頼できる既存のマスメディアがお金をかけて作り上げてきたような情報群である。ウィキペディアのせいでそのソースとなっていた既存マスメディアが打撃を受けているというのは皮肉な状況と言える。


実際の業務でも、Web2.0的なユーザ参加型サービスに携わっているが、「無料で使われる」ことが情報を流通させる上で一体どういうことなのかを考え直すよいきっかけになった。



キーフレーズ

マスメディアとはアテンションの卸売り業

一方でグーグルはその先のインタレストを売っている


ゼロサムゲームを変えた織田信長

土地を巡る戦国のルールから、茶器に価値を認めてゼロサムから脱皮


マスメディアの社会的役割

今自分が見ている番組をみんなも見ているという気持ちが社会に安堵を与えてきた
新聞に書いてあることが常識として扱われてきた
社会としての連帯感を形成する

⇒好きなもの同士が集まってばかりの「カプセル化」が進むと社会が発展しなくなる


ウィキペディアに記述されている「みんなの知恵」

根源的には社会がコストをかけて育んできた知の基盤に拠っていることを忘れてはならない