ハイコンセプト

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

所感

大前研一が翻訳ということでうさんくさいかもしれないなーと思いながら読み始めたが、これは個人的に指折りの名著かも。自分のこれまでの読書傾向の延長線上にあって、そのキャリアに対する考え方が正しい方向に向いているんだと言うことを改めて確信させてくれた。


農業の時代⇒工業の時代⇒情報の時代⇒(精神の時代?)というパラダイムシフトが昨今よく言われている中で、この「精神の時代(コンセプトの時代)」に生き残っていくために必要な能力を紹介する内容になっている。端的に書くと、この「ハートとアートの時代」において「右脳をうまく活用できる人間になれ」ということ。


理系出身の自分としては耳の痛い言葉も多々あった。特に共感力や物語性が重要となる「ハイ・タッチ」の部分については最も苦手とするところ。
ただ、現在デザインやゲームに関わる仕事をし、かつて脳と感情に関する研究にも携わってきているので、そのあたりのアドバンテージを生かして右脳をもっと開発させていきたい。


キーフレーズ

パラダイムシフトが起こる要因

「豊かさ」「アジア」「オートメーション」
海外の安い労働者にはこなせず、コンピュータが処理でない仕事に集中し、美的・情緒的・精神的要求に応えられる個人や組織が成功する

価値の増大が見込めない能力(左脳的)

知識やスキルを持っていること⇒Webやアジアが代替可能
自分ひとりで考えたり覚えていることはもはや二束三文の価値しかない

必要とされる能力(右脳的)

多くの人の意見を聞いて自分の考えをまとめる能力
壁にぶつかったらそれを突破するアイデアと勇気を持った人
自分とはまったく対極な人と仲良く語り合って物事を創造していく能力
人間関係を結ぶこと、全体像をまとめ上げること

『デザイン』

「デザイン」は古典的な全体思考能力である
本質的に異なる物事を繋ぎ合わせて解答を見つけ出すこと
良いデザインを見つけたらそれを書き留めておく訓練
 ⇒ブログで紹介、実現可能

『物語』

単なるデータの羅列よりも物語形式で語ることで印象に残りやすい
 ⇒UXのペルソナマーケティングに近い概念
質の良い短編小説等を読むことで訓練できる

『調和』

バラバラな情報に関連性を見出し全体としてまとめる力
⇒「パターン認識力」
絵を描くこと=要素同士の「関連性」を見ること
境界を越えられる人はいくつものアイデンティティを持っている
(職業、コミュニティなどを複数持ち、思考を飛躍させられる)
優れた交響曲、良い例え話などに注目することで訓練できる

共感

相手の状況に自分を置き換えて考えられる能力
微妙な表情の違いを感じ取り、人の話を聞ける能力
⇒看護師は次の時代の重要職業の一つである

遊び心

テレビゲームによりパターン認識力などの右脳的能力が向上する
ユーモアは右脳が最も得意とする特性が多く含まれる
(状況を見極める、全体像を見る、異なる観点から見る等)
笑いは共感を伝えるためのコミュニケーション

生きがい

人生の究極の目的は幸福の追求(ダライ・ラマ
精神性とは「人生に目的と意義を見出したいという基本的願望」