Town Watchingのノウハウ

イノベーティブなサービスを企画するためには、どうしてもリアルなユーザーの観察が必要になってくる。その手段の一つとして、街へ出て実際にユーザーがサービスを使っている様子を自分の目で確かめ、必要に応じてその人に直接インタビューを行う「Town Watching」という方法がある。今回その実施に携わったので、内容や注意点を記録しておく。

日本ではTown Watchingを実施するのは困難

韓国ではフラッと街へ出かけてすぐにインタビューを始められるようだが、日本はそう簡単に調査ができる訳ではない。というのも、個人情報保護や迷惑行為防止などによる規制が非常に厳しく、基本的には公道でのインタビュー調査全般は禁止されている模様。

東京では、区ごとの警察署の管理下ごとに許可状況が異なり、例えば渋谷区では全面禁止、世田谷区では条件付き許可等々。法務部を通して候補地を管轄する警察に確認を取る必要がある。

今回、高校生や大学生が多く集まりそうなところを中心的にピックアップしたのだが、半分以上NGが出た。

全面禁止のところ

・渋谷駅周辺
高田馬場駅周辺
吉祥寺駅周辺

条件付OKのところ

・原宿表参道周辺
・下北沢

また調査を行う場合にも、事前に管轄の警察に調査届け(目的、内容等)を提出し、手続き料2100円を払う必要がある。さらに原宿ではインタビュー調査の許可がおりた区域は小さく限定されており、今回の重点調査ポイント(携帯電話の利用状況)が十分観察できるような場所は確保できなかった。もちろん公道だけでなく、JR管轄の駅中や、各ショップ周辺における調査も高いトラブルリスクを抱えることになり、この点は調査計画の大きな障害になる。

ちなみに、インタビューや写真撮影をせず、観察のみならどこでも可能。

実施時間帯、場所

今回の実施日は平日。13:00からスタートしたが、原宿はその時間帯でも十分大学生を見ることができた。高校生は15:30過ぎになるとちらほらと見かけるようになるが、あまり数は多くなかった。原宿は他に修学旅行に来ている中学生や観光の外国人なども多い。
一方で下北沢は調査エリアが広くないため、平日の昼間は閑散としていて調査が行いにくい。夕方17:00を過ぎると大学生、高校生、中学生と学生が非常に多く出歩くようになり、人を集めやすくなる。

インタビューのコツ

歩いている人を引き止めるのは非常に困難(ただし高校生、中学生は引き止めやすい)。なので、基本的には待ち合わせや店の前で立ち止まっている人にアプローチするのがよい。

最初はかしこまって真面目に内容を説明していたが、それだと向こう側も緊張したり大事として構えたりしてインタビュー許諾率が下がってしまうので、途中から難しい建前部分を省いてフランクな対応に切り替えた。

また最初の声かけも具体的な内容を少し出すことで、許諾率を上げることができた。

例:「携帯電話についてインタビューをしているんですが5分だけよろしいですか?」⇒「携帯でどんなサイトを見ているか聞いてるんですが、ちょっと協力してもらえませんか?」

受け答えに迷っていたらどんどん内容を聞いて進めてしまうこと。粗品はインタビュー途中で出し、ある程度の知名度があることをアピールできるとよい。

持ち物、服装

ICレコーダー、デジタルカメラ、謝礼用粗品
ICレコーダーは記録用のバインダーの先端につけるなどして、インタビュー対象にマイクを向けられるようにするとsマート。また外での調査は冷えるので上着を用意した方がよい。

お問い合わせ

基本的にインタビュー毎に個人情報保護ポリシーを記載した用紙を配布するのだが、緊急時の連絡先として今回はWebサイトの総合お問い合わせ窓口を利用した。この点は、カスタマーサポート、広報、法務各部署との調整や共有が必要。