誰のためのデザイン?

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)


所感

実はノーマンのこの聖書をまだしっかりと読んだことがなかったので、今更ながら購入。


1990年の著作ということで、本当に物理的なプロダクトデザインの話が多く、その段階までの「使いやすさ改善のための原則」がよくまとめられていると思った。このあたりは近年のユーザビリティ関連の書籍と内容が被るので、特別に新しい概念が手に入ったという訳ではなかった。


そして90年当時から時代は流れに流れ、「インターネットの出現」と「モバイル端末の普及」という大きな転機を経た今となっては、内容的に少し寂しい感じでもある。


噂には聞いていたがノーマンはアメリカ空軍関連の研究にも従事していたようで、戦争やコクピット、エラー分析の話など節々にその経験が垣間見えた。また2000年代に入ってから書いた『エモーショナル・デザイン』などの雰囲気とはまた違って、モデルや理論の提示があるあたりがいかにも認知心理学者っぽいなと感じた。


「ラベルに頼らなければいけないデザインは失格である」…耳が痛い。


キーフレーズ

よいデザインの原則
  • 可視性
  • よい概念モデル
  • よい対応付け
  • フィードバック

デザインモデル⇔システムイメージ⇔ユーザーイメージ

本当に良いものを作るには普通、5回か6回試みる必要がある
 ⇒UCDプロセスに繋がる記述

行為遂行の7段階理論

実行しようとする意図→行為系列→実行→外界→状態知覚→知覚の解釈→解釈の評価→ゴール

エラーの種類
  • スリップ
  • ミステイク

エラーを発見しやすく訂正可能なようにデザインすること
インターロック、ロックイン、ロックアウト

デザインプロセス

デザインをするチームの中には、最終的にそのインターフェースを使う人の立場を口やかましく述べるような人が本当に必要

平均的な人というのはどこにもいない
 ⇒今日のペルソナマーケティングと同じ流れ

探索可能なシステム
  • どんな行為が許されているのかすぐにわかるように
  • 行為の結果が目に見えて解釈しやすいように
  • 行為の結果が望ましくない場合にはすぐにもとに戻せるように
良いデザインを普及させるには

ちょっと手間やお金がかかっても、それを買ってそのデザインを応援してあげること