ブリッジマンの技術


ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)

ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)

所感

諸所で話題になっていた本なので目を通してみた。火山学者というマイナーな分野ゆえに、専門的なことを一般の人々に伝える苦労を人一倍感じていたのだろう。


本書で述べていることは、冷静に考えれば人とのコミュニケーションとして当たり前のことばかり。加えてストーリーテリングの重要性は『ハイ・コンセプト』でも度々出てきた概念である。漫画やテレビ番組はそのあたりの表現が非常に上手いはずなので、ワイドショーやNHKこどもニュースなんかを意識して見てみようかと思う。


おもしろかったのは、「人は自分のフレームワークに合ったことしか理解できない」という部分。確かに読書やブログを読んでいて”いいな”と思った部分は、自分のフレームワークと一致もしくはサポートしてくれる内容であることが多い。これが良いにしろ悪いにしろ、読書をする際の新しい視点を提供してくれたというのは大きい。まずは意識から。



ブリッジマンの技術を自分の仕事の当てはめてみると、サービスの意図をユーザーに伝える、またはユーザーの意見をサービス製作者にフィードバックするというUIエンジニアは、当然優秀なそれでなくてはならないと言うこともできる。


また今の職場では外国出身の人と討論することが多く、つい感情的になって「なんでこんなこともわからないのか?」と憤ってしまうこともよくある。こういうときにおいてもブリッジマンとしての心得を肝に銘じておかなくてはと自戒せざるを得ない。


キーフレーズ

フレームワークの橋渡し

最も洗練された描き手は漫画家かもしれない
コピーライターは商品のフレームワークと大衆のフレームワークを合わせる

読書は自分のフレームワークを確認する行為
人は自分のフレームワークに合致したことしか頭に入らないもの

NHKの子供番組はフレームワークの橋渡しの宝庫である

相手を知る

相手の関心に関心を持つ
「事実」と「意見」を分けて聞く
頻度の多い言葉に注目する
相手の関心を把握するには、言葉を点検することが大切

自分を知り自分を変える

自分はどうあれ、目の前の相手に合わせられるか?
相手の譲歩を引き出すために、凹ましてやりたい願望は捨てなければならない
一時的優越感からの脱却
聴衆の年齢、職業、人数などを予め聞いておく