貧困大国アメリカ
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 新書
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所感
正直、読んでいる途中からずっとブルーになりっぱなしの一冊。失業リスクや病気リスクが高すぎる社会が実際にこの世に存在し、一度落ちてしまったら戦争に借り出され、それでも貧困から抜け出せないなんて絶望的。「自由」という言葉の元に、よく上っ面だけあんなにも綺麗にまとめられるもんだな、と。
日本もこの景気停滞期を脱却する一つのアプローチとして、アメリカにならった新自由主義的なスタンスが一般に広まってきている。自分もこれまではどちらかといえばその方針に賛成であったが、今回これを読んで、行き過ぎたその末路に恐ろしくなってしまった。
「何事もほどほどに」ではないが、国家として手を付けてよい部分と悪い部分は慎重に検討しなくてはならず、リセットはきかないんだということは肝に銘じておきたい。
そして本書末尾でも述べられていたが、国家や政策にもっと多くの人が興味を持つこと、そして行き過ぎた市場主義を認可しない「賢い消費者」を増やすことが大切な模様。個人的には、この辺りはインターネットが非常に得意とし貢献できるところかなと思っている。
キーフレーズ
「教育」「いのち」「暮らし」という、国民に責任を負うべき政府の主要業務が「民営化」され、市場の論理で回されるようになったとき、果たしてそれは「国家」と呼べるのか?
貧困が生み出す肥満国民
貧しい国民ほど安価で手に入るジャンクフードに依存していく
経済的な徴兵制度
政府の弱者切捨て政策のため、お金のためにやむなく戦地へ送り込まれる
軍に入っても障害などによって稼いだ分を相殺してしまう
「貧困ビジネス」の、その国家レベルのものが「戦争」である
民間戦争請負会社は世界中に500以上ある
国際貢献とは無縁であり、戦死したら「自己責任」
戦争への参加は単に「生き延びるための手段」にすぎない
いのちをものさしにした民主主義に
環境や人権、人間らしい暮らしに光をあてること
賢い消費者になり、買うものを注意深く選択すること