Tobii マーケティングセミナー

Tobiiのアイトラッキングマシンの利用検討をしているときに、ちょうど告知していただいたので参加。講義は人間工学界隈では大御所の慶応・福田先生。内容を簡単にまとめておく。

このたび弊社では、アイトラッキングを利用したマーケティングリサーチ
「アイトラッキングデータを如何に読み解き、どう活用するか」
をテーマとしたマーケティングセミナー<第三回> を以下の通り開催させて頂きます。

http://www.tobii.co.jp/japan/all_news/2009/20091104_marketingseminar3rd.aspx

全体への所感

会場には50人ほどが集まっていたが、半分くらいの人がすでにTobiiを導入している模様。思ったより多いと感じ、ちょっと出遅れ感。雰囲気はやはりアカデミック寄りだった。


学生の時に「注視」に焦点を当てたVisual Search(視覚的情報探索)についての研究をしていたので、懐かしい単語が並ぶ講義。内容自体は静止画の広告関連だったのでテーマとしては古く、あまり大きなインサイトはなかったが、TobiiStudio Ver2から搭載されたRTA(Retrospective Think Aloud:回顧的発話法)支援機能は、これまでにないインタビューに繋がりそうだと感じた。


あと個人的に興味深かったのは、事後質問であった「注視とみなす臨界点」の議論。視角や注視時間のデフォルト値をそのまま使っていいのかどうか。福田先生は動く物体を見続けるときの注視定義が専門だったようで、厳密には対象が動的か静的かによって調整する必要はあるが、現在はデフォルト値をそのまま使用しているとのこと。


アイトラッキングでわかること、わからないこと

わかること:どこを、どの順番で、どのくらいの時間、どのくらいの頻度で
わからないこと:なぜ、どう感じたか、どう振舞ったか
⇒他の手法で補完してあげる必要がある

何を見せればよいか?

ターゲット刺激だけでは不足の場合もある
比較対象があるとよい(類似したもの、加工したものetc.)
⇒どの要素が見方に影響を与えるか、仮説を持ちながら検証する

データ分析

まずはReplay、HeatMap、GazePlotなどで概要を把握する
次に上記内容を定量的に把握するため、AOI(Area of Interest)を定義して各指標を算出する

動画参照:
http://www.mi-yell.net/%E8%A6%8B%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF/
http://www.imotionsglobal.com/Bee+Swarm

※ Heatmapを見るときには何に基づいた描画なのか注意すること
 (注視回数/絶対的注視時間/相対的注視時間etc.)

その他のデータ

瞳孔径:興味の度合を測定できるが、刺激の明るさに影響を受けやすい
平均注視時間:表現の理解しやすさなどを間接的に測定できる

化粧品ポスターの事例紹介

8社のポスター広告についてAOI(モデル、コピー、商品etc.)を定義して測定
⇒まず最初にモデルの目に注意が集まり、その後他の要素と行き来しながら見ていく傾向が高い
 購買意向と関係が大きいのは商品効用の部分だった
 モデルはアイキャッチャーとして重要性が高かった

Tobii Studio Ver.2

RTA(Retrospective Think Aloud:回顧的発話法)支援機能が搭載された
タスク終了後に自分の視点移動の様子を見ながらその時どう思ったのかを話してもらう方法
⇒これにより、ユーザーコメントの引き出し量を5倍程度に高められた

まとめ

・Tracking技術や分析ソフトが発達してきた分、その他の手法(インタビュー、アンケート、行動分析、GSR etc.)との合わせ技の重要性が増してきた
・サンプリング数は1グループ10人程度見れるとよい