奥出教授の講演会

毎回ビッグゲストをお呼びしての社内特別講演会。今回は慶応大の奥出教授で、企業におけるイノベーション研究の第一人者。著書も多数。またTwitterはまるで講義を受けているような感じで、テーマごとにブログにまとめられてもいる。

デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方

デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方

Naohito Okude (NaohitoOkude) on Twitter

奥出直人のTwitter的生活: 日本メーカーの蹉跌:いかにして21世紀企業となるか

所感

今回は、これまでの日本の産業やデザインの歴史を踏まえた上で、「なぜ今『デザイン思考』なのか」をわかりやすく話していただいた。
そして『デザイン思考』は結局『HCD的アプローチ』とほぼ同意であり、これがイノベーションのために必要であるということが論理的に説明された。この辺りの話は、社内でUXの業務について説明する際に大いに参考にできそう。

また今回の講演内容は、単発の手法の紹介ではなく、会社の文化や仕事の進め方に関わる部分だったので、本当の実現のためには社員全員が理解し納得する必要があるとも感じている。ここは草の根活動ではなかなか難しいので、ぜひマネジメント層による強権発動がほしいところ。

キーフレーズ

メタデザイン
  • 何を作るか?日本企業が特に苦手としているところ

  ⇒デザイン思考で作っていくべき(観察法・ティンカリング等)

ものづくりの変貌
  • 20世紀:残りのピースを作る
  • 21世紀:枠組み作り
  • 80年代は各社に中央研究所があり、闇プロジェクトが行われていた
  • GE、P&Gも行き詰まったが、ベンチャーとして切り離して乗り越えた
  • 研究所消滅後は、外部アイデアマンに委託
戦略的イノベーションの方法
  • イノベーションを表に出すためには、嫌になるほどのマーケティング調査や試作が必要
  • できるだけ上流でのコストの安い試作が必須となる
  • 一番会社を知っている社員の人件費のみで優れたコンセプトを作る
デザイン思考

  • ユーザーは観察するものであって聞くものではない
  • 今までのビジネス戦略:積み上げ方式
    • 過去や他者の事例を元に、未来を判断しなければならない
  • デザイン思考ビジネス戦略:逆算方式
    • 顧客を見てコンセプトを思いつき、プロトタイプを作った上で戦略を立てる
    • この活動に会社の2割くらいのリソースをかけてよい
    • R&D部署を設け、2割の人材をローテーションで送り込む