パソコン・インストラクタ―完全マニュアル

パソコン・インストラクター完全マニュアル―コンピュータを教えるすべての人に

パソコン・インストラクター完全マニュアル―コンピュータを教えるすべての人に

マミオンに入社するにあたり、勧められた本です。
タイトルそのまんまですが、これから教育に携わる者として、非常に参考になる内容でした。1997年の発行ですが、今現在でも問題なく参考にすることができ、教育の本質は変わらないんだなと改めて思わされます。

これを読んでおいたおかげで、入ってすぐの講義サポートにもスッと入れたし、教室での個別の教え方にも役立ちました。本当に読んでおいてよかったです。

本では、トレーニングガイドの作り方、ホワイトボードのまとめ方などの具体的な内容から、トレーナーが持っておくべき心構えや、人が物事を学習する仕組みのことまで幅広く網羅されていて、本当にこの1冊から得ることが多かったです。

特に「大人の生徒に教える業務」に携わっている人には、コンピュータ以外のジャンルでも参考になると思います。

生徒の学ぶ機会を奪わない

  • コンピュータ・トレーナーにとって最も重要な能力は、指導の中で効果的に質問していく事です。
  • 最も良い評価は、自己評価です。

もし自分がこの本を読んでいなかったら、生徒さんに質問された際に、きっとマウスを借りて自分で操作を見せて教えた気になっていたことでしょう。でもそれは生徒さんの学ぶ機会を奪うことだとハッとさせられました。何でも答えを教える「先生」になるのではなく、自ら学ぶ機会を提供する「コーチ」にならなくては、と。
かと言って、まったく生徒さん任せにしてしまうと思うように進んでもらえないので、このさじ加減がまだ試行錯誤している段階です。

子供とは違う、「大人への教え方」

  • 大人には、それぞれの経験があるので、新しいことは、すでに記憶に定着していることと関連づけられなければなりません

大人への教育が、子供へのそれと一番違うところはここです。全くまっさらな状態から知識を詰め込むのではなく、その人が既に持っているものとリンクさせることで、理解力が飛躍的に増すところが面白いと思います。

そこで重要なのが、アナロジーを用いること。「〜みたいなもの」と例えてあげれば、パソコンの概念もスッと理解してもらいやすいのは教室で教えていても実感します。教えるのがうまい人は、本当に適切なアナロジーの引き出しをたくさん持っていて、いつも参考にさせてもらっています。

直線的ではなく、同心円的な学習を

  • 学習については、1本の直線に沿って進むのではなく、同心円を広げていくという考え方をしてみましょう
  • 発見によって覚えたことは、教えられて覚えたことよりも記憶に残ります

自分も最近、Wordpressを一から学ぶ機会があったのですが、教本を最初からやるのではなく、必要な作業をその都度調べて実装してチェックして、の繰り返しで身につけていきました。最初はハードルが高いなと思いましたが、自分で調べてできたことに関しては忘れることがなく、また使わない機能を学ぶ時間をとることもないので効率的だったと思います。

教室でも、一応テキストは用意されていますが、基本的には生徒さんのやりたいことを個別にサポートしていく形で進めています。結局WordやExcelの機能は滅多に使わないマイナーなものも多いので、こうした"同心円を広げていく"学習方法の方が、生徒さんの満足度も高いように思います。