「感性」のマーケティング
「感性」のマーケティング 心と行動を読み解き、顧客をつかむ (PHPビジネス新書)
- 作者: 小阪裕司
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2006/11/18
- メディア: 新書
- 購入: 10人 クリック: 80回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
所感
久々のヒット。新書だし、コストパフォーマンスは過去最高かもしれない。
定性的リサーチと感性は切っても切り離せないものだとは思っていたが、思っていた以上に近い分野だと思った。感性に訴える消費行動をデザインする様は、まさにHCDのシナリオの構築と一緒。
また成功事例の紹介も豊富で、全編通してわかりやすく説得力のある内容だった。マーケティングの4Pとか、ビジュアルデザインばかりにこだわっている人はぜひ読んだ方がいい。
個人的にはマスタービジネスという概念が新鮮で印象に残った。この本の内容から考えると、弊社主力商品のアバターなんか、こんな人がデザインしてます、こんな苦労がありました、ここを見てください、などの人間味やこだわりを伝える努力をもっとした方がいいし、その楽しみ方をちゃんと説明してあげないとダメなのではないかと感じた。
そしてブログやTwitterはこれからも広報活動のキーになりそうだなと再認識。
キーフレーズ
成功した酒屋の例
「商品」ではなく、それを飲む「人間」の方に焦点を当てている
このお酒を『買う』という『行動』をどうしたらしてもらえるか?
売れない理由を商品のせいにしない
現在の日本酒離れ現象は『原因』ではなく『結果』にすぎない
行動の背景にあるのが「感性」
人には「快」と感じることしか行動しないという原則がある
「高いから買わない」「立地が悪いから買わない」は成り立たない
3つのメインモジュール
・感性トレンド
メガトレンド、モード、テクノロジー、環境
・感性メカニズム
・認知メカニズム
メガトレンド…現在はロハスでウェットな人間関係への流れ
モード…一時的なブーム現象など
認知メカニズムの例…
言われたものしかキャッチしない脳
青いものを探していると、黄色いものに気づかない
⇒お客さんに理解してほしいことは必ず「言う」
感性消費行動をデザインする
買うまでの行動ステップを細分化してみる
「価格が高い」「デザインが悪い」という話にはならないはず
行動デザインの例:
まだ記憶が鮮明なうちに次の働きかけをする
人間味のあるPOPを出して予約につなげる、など
マスタービジネス
「こういうことに取り組むと、あなたの人生はより豊かになる」
お客さんの人生における新たな目的に気づかせ、それを支援していく
⇒その中で必要なものを販売、サービスする方法
ソリューション型のサービスだけでは売り上げが立たない
伝えれば伝わる
どんなによい感性能のものでも、最初の頃だけは丁寧に伝えること
初めてのものに対してはそれを味わう感性が未成熟だから
「伝達力」ではなく「伝道力」
究極的には生活習慣や人生観を定着させること
共感とコミュニティ
マスターが伝道力を発揮した結果、お客さんは共感し、行動を始める
説得、交渉、囲い込みによる販売とは違う
ロイヤリティのある顧客コミュニティをどれだけ持てるか
これからの3つの重要な取り組み
・お客さんの感性に訴え、感性を育成する
・人間的なコミュニケーションを行い、コミュニティを形成する
・感性を軸にした商品ラインを持つ
広報活動=伝道活動
自分のことを語り、適度な接触間隔を保つ
企業の収益構造が変わる
マスタービジネスでは取り扱い商品に際限がなくなる
ありとあらゆる商品から利益ミックスを期待できる
これからのビジネスパーソンに必要なこと
人間の行動を分解するクセをつける
人の行動ストーリーを描けるようになる
お客さんに関する情報をたくさん仕入れる
成功事例をたくさん見聞きするとアイデアに気づきやすくなる
様々な流行の現象を見て、共通項を見つけ出す